Jリーグでは2月以降の試合が開催延期となっており、前売り券でチケットを購入された方、そしてシーズンチケットを購入された多くのサポーターの方は払い戻しの手続きをされたり、シーズンチケットの取扱いについて各クラブからの発表を待っている状況だと思います。
そんな中、いくつかのクラブでシーズンチケットの払い戻しが発表されています。J1ではFC東京がいち早くシーズンチケットの全額払い戻しを発表しています。
「2020シーズン年間チケット」の取り扱いについて|FC東京オフィシャルホームページ
クラブにとってシーズンチケットの売り上げは収入の大きな柱の一つです。シーズンチケットの払い戻しはクラブにとっても苦渋の決断でしょう。
そこで政府は新しい税制「チケットの払戻請求権の放棄を寄附金控除の対象とする税制改正」を行いました。これは何かというと、簡単に言えば「チケット代を(払い戻しを受けないで)主催者に寄附したら税金を安くするよ」ってことです。
ここでは、控除を受ける(税金を取り戻す)ための手順や必要なことを説明します。
税制改正の内容
スポーツ庁(文部科学省の下部組織)から概要が発表されています。
チケットの払戻請求権の放棄を寄附金控除の対象とする税制改正:スポーツ庁
手順としては以下のようになります。
1.クラブが払い戻し対象イベントの指定を受ける
2.シーズンチケット購入者が払い戻しを辞退する
3.確定申告で寄附額を申告して還付を受ける
1については、イベント主催者であるクラブが行いますので、サポーターの方々がしなければならないのは、2と3です。
控除を受けるためには必ず確定申告を行う必要があります。年末調整やふるさと納税のワンストップ制度では還付を受けることはできません。
指定済み、仮申請済みクラブ
6月5日発表時点で指定済み、仮申請済みのクラブ一覧です。
下に名前のあるクラブは文部科学大臣の指定済みのクラブです。
払い戻しを辞退した場合に、寄付金控除が受けられます。
- カターレ富山
- ヴァンラーレ八戸
- FC東京
- アルビレックス新潟
- ガイナーレ鳥取
- FC町田ゼルビア
- ジュビロ磐田
- ツエーゲン金沢
- 浦和レッズ
- アビスパ福岡
- レノファ山口
- 大分トリニータ
- 柏レイソル
- ギラヴァンツ北九州
- 栃木SC
- ロアッソ熊本
- セレッソ大阪
- 横浜F・マリノス
下に名前のあるクラブは仮申請済みのクラブです。
スポーツ庁での審査が終わり次第、文部科学大臣の指定が行われます。
- 横浜FC
- ブラウブリッツ秋田
- サガン鳥栖
- 鹿児島ユナイテッドFC
- 愛媛FC
- サンフレッチェ広島
- 大宮アルディージャ
- AC長野パルセイロ
- ジェフユナイテッド市原・千葉
- 水戸ホーリーホック
- 清水エスパルス
- 湘南ベルマーレ
- 東京ヴェルディ
- カマタマーレ讃岐
- FC岐阜
- モンテディオ山形
- 京都サンガF.C.
- ファジアーノ岡山
- FC琉球
- Y.S.C.C.
- ガンバ大阪
- ヴィッセル神戸
まだ、名前のないクラブもありますが、どのクラブも申請する方向で動いています。Jリーグの再開・開幕までには情報も出てくる思いますので、焦らずに待ちましょう。
返ってくる税金の金額
気になるのは、払い戻しを辞退することでいくら戻ってくるかです。
残念ながら、全額は戻ってきません。
( チケット代の合計 - 2,000円 ) × 40%
上記の計算式から求められた金額分の税金が戻ってきます。
所得控除という方法もありますが、大抵は上記の計算式で直接税金が安くなる人の方が多いので、ここでは上記の方法のみ説明します。
少し難しい話ですが、以前からある寄附金控除という制度を使います。
チケット代を合計したものから2,000円を引き、それの40%が戻ってくる金額です。
チケット代の合計には、そのチケット代を負担したのであれば、家族の分も含めることができます。ケースとしては、お父さんが家族全員の分を購入した場合が考えられると思います。
具体的に計算してみると、例えば購入したシーズンチケットの値段が30,000円だとしましょう。
( 30,000円 - 2,000円 ) × 40% = 11,200円
という計算式になり、11,200円が戻ってくることになります。
感覚としては、元の値段より戻ってくる金額がだいぶ減ったように感じます。
また、上限があり、チケット代の合計が20万円までです。
控除の方法
税金を取り戻す手順は以下の通りです。
払い戻し辞退の意思表示
今後、各クラブからシーズンチケットの払い戻しについての案内があると思います。
それと同時に、払い戻し辞退についても案内されるはずです。
そこで払い戻しを辞退することをクラブに伝えます。
すると、クラブから2種類の証明書が発行されます。
一つは「指定行事証明書」、そしてもう一つが「払戻請求権放棄証明書」です。
「指定行事証明書」は、そのイベント(シーズンチケット)が文部科学大臣の指定を受けたことの証明となるものです。
そして「払戻請求権放棄証明書」は、文字通り払い戻されるチケットの代金を受け取らない、放棄してクラブに寄附したことを証明するものです。
確定申告を行う
多くのサポーターの方は、勤務先で年末調整を行うことで、毎月払っていた所得税が少し返ってきていると思います。
チケット払い戻しの辞退は寄附金扱いになるので、年末調整では還付の処理はできません。
税務署などで確定申告書を提出する必要があります。
ここでは、確定申告の方法については説明しませんので、税務署などにご相談ください。
いかがでしょうか?
確定申告は難しい印象があると思いますが、税務署などでは書類の作り方も教えてくれます。
支払った金額より戻ってくる金額は少ないですが、苦しい状況にあるクラブを助けるために、このような制度を利用してみてはいかがでしょうか。